京の風物詩 鴨川納涼床への誘い 鴨川座談会

京都鴨川納涼床協同組合


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僕にとっての鴨川納涼床 笹岡隆甫
笹岡さんにとっての「床」といえば?

笹岡さん 「祇園祭り囃し方の稽古始め」というのが、私にとっての初めて床へ伺った経験です。小学5年生の時、長刀鉾のお稚児を努めさせていただきました。翌年からは、囃子方となり、それ以来「床開き」の日に稽古始めとして出かけています。今はなかなか忙しく、お稽古にも出かけられないのが本当のところです。
 その分、客として床にでかけ、京都の夏の風物として楽しませていただいております。

「床」でのお囃子はどうですか?

笹岡さん とても気持ちがいいですね。お客様も沢山お見えになりますし、風も気分いいです。そんな、床でのお囃子はまた別格ですね。私だけではなく、囃子方みんなが、床でのお囃子を楽しみにしています。

TV番組の企画で、「床」でいけばなをされたことがあるとのことですが、「床」での「お花」のおもてなしとはどういったものでしょうか?

笹岡さん 1974年京都生まれ。3歳より当代家元笹岡勲甫の指導を受ける。京都大学工学部建築学科卒業。2000年京都大学大学院博士後期課程を中退し、華道に専念。
 狂言やミュージカルの舞台を「いけばなパフォーマンス」でいけあげるなど、舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求。「たけしの誰でもピカソ」出演や、「平成教育委員会」で最優秀生徒賞を獲得するなど、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等でも、いけばなの普及に努める。
 茂山宗彦(大蔵流狂言師)、chori(詩人、茶道裏千家 家元の長男)とともに、「京の御三家」(SmaSTATION!!)、「京のプリンス」(関西テレビ☆京都チャンネル)と呼ばれる。著書に『美的生活のヒント』(2007年、マガジンハウス)。

華道「未生流笹岡」次期家元 笹岡隆甫

笹岡隆甫 1974年京都生まれ。3歳より当代家元笹岡勲甫の指導を受ける。京都大学工学部建築学科卒業。2000年京都大学大学院博士後期課程を中退し、華道に専念。
 狂言やミュージカルの舞台を「いけばなパフォーマンス」でいけあげるなど、舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求。「たけしの誰でもピカソ」出演や、「平成教育委員会」で最優秀生徒賞を獲得するなど、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等でも、いけばなの普及に努める。
 茂山宗彦(大蔵流狂言師)、chori(詩人、茶道裏千家 家元の長男)とともに、「京の御三家」(SmaSTATION!!)、「京のプリンス」(関西テレビ☆京都チャンネル)と呼ばれる。著書に『美的生活のヒント』(2007年、マガジンハウス)。

第六回鴨川座談会
第六回鴨川座談会
渡邊 檀
きた村 女将
渡邊 檀
白井 智子
新三浦
白井 智子
尾崎 享子
鳥初鴨川 若女将
尾崎 享子
田中 美千代
田鶴 若女将
田中 美千代

 華道「未生流笹岡」次期家元 笹岡隆甫さんを女将、若女将が囲んで、「鴨川座談会」初の女性ばかりの座談会が行われました。納涼床という伝統を継承する老舗の女将であること、それは「もてなし」の最前にいるということ。そんな「もてなし」の心を、笹岡隆甫さんとともに、しつらいとしての「お花」を通じて語らう、とても和やかな一時でした。

花をいけるということ、おもてなしの心というもの。
笹岡: 人間は、花を見て美しいと感じることができるし、ほっとして心安らぐことができることは素晴らしいことだと思います。おもてなしの心を持って、「いけばな」に、掛け軸に・・・部屋のしつらえを毎日されている。それはそれは大変なことだと思いますが・・・。
田中: お客様へのおもてなしとして、美しいものを・・・ということもありますが、なによりも私たちのお店はお越し頂くその意味や、縁起を考えることが多いですね。単純にお食事というだけではなく、縁起もあれば商談、時には法事ということもあります。そういったことを気にしながらやっています。
笹岡: もしかしたら私共よりも気を遣っておられるのではないでしょうか。
尾崎: お花のお稽古をしている時は真正面を見ているだけですけど、お客様にひっかかるようなぐっと斜めにしたい花があったりしても『これはお客様にひっかからはるしあかんな』とか、『床の間からちょっと出たらひっかからはりますし、これは危のおす』とか、見られることを真剣に考えますね。そうですね。見られるからこそちゃんとしておかないといけないし、そこは手を抜けない。
笹岡: 花器にいける時みなさんが陥りやすいのが、正面からしか花を見ないということ。右も左もまわって見る、全体を見る視点というのがとても大切ですね。
尾崎: あと座敷では絶対匂いがつくお花はおかないことにしてまして・・・。
笹岡: そういった禁花もありますね。お客様に対して嫌な花、お客様がそれを見て嫌な気分になる花ではどうしようもないですから。とはいえ、昔は毒のある花とか、匂いのきつい花とか名前で縁起が悪いという花は嫌われておりました。棘のある花も嫌われておりました。今は結構、大丈夫ですね。ぼけもバラも「いけばな」として使います。
尾崎: 小さいとき「ぼけの花」は家に入れないと言われました。でもこちらに来てから生け花する時に当たり前にぼけが入るのでちょっとびっくりしました。
白井:

嫁いでから・・・というお話が尾崎さんから出ましたが、私が思うのは、花嫁修業としてお花を生けていた時は「格好だけやった」ということです。お稽古行っても、形だけやって「ありがとうございました」と帰っていた。お免状いくら頂いても紙切れでした。実際に女将としてお店の花を生けることになって初めて、花というものの美しさや、感じる心が分かった気がします。

さらに、最初は私なりに稽古で習った花を生けていたんですが、どうもしっくりこない。そこで気がついたというか、始めたのが、母の生ける花をまねようということ。何十年と店の花を生けているお母さんを師匠に、母が生けている花と同じ花を生けようと。最初は小言も多かったんですが、今では母も私を信用してくれて、最近は自分の生けたいように自分の花を生けられるようになってきたような気がします。そうなってくると、可笑しなもので『この花ちょっとこっち向いて欲しいな』とか思うと向いてくれるんです花が・・・。自分でも必死になってやっている時はそうでもなかったのに、余裕がでてお花を生けるとお花がいうことを聞いてくれまして・・・(笑)。

笹岡: そういうものでしょうね。
白井:

私も今、お花を生けるのがすごく楽しいです。一日の仕事の中で一番リフレッシュ出来る時かも知れませんね(笑)。

お稽古も行き、お免状いただきましたが形だけで終わっていて・・・。まさかこんなことをしないといけないなんて、お客さんに見ていただくようになるなんて思ってもいなかった。若女将になって、突然お花を生けることになって、どうしていいのやら、本当に何をどうしていいのやらわからない。最初はそんな感じでした。

形はわかるが、お稽古の時は先生の顔を見ながらしていたし、母が見ていると、どないしよう、と思い、汗は出てくるし(笑)。

最初の5・6年は、お店のお花をするのが正直しんどかった。お玄関してあそこして・・・ワーっとなってお花を生ける一ヵ所一ヵ所が億劫だったものです。お花だけでなく、これもして、あれもしてと分刻みの忙しさなんて思っていた。有名人でもないのに(笑)。

それがここ2年ぐらいやっと楽しいなと思えるようになりました。それはね、そんな日が続く中、「お母さんどうしましょ?」ときいてみたんです。母が「自分が一番だと思う、かわいいな、綺麗やなと思うようにやりよし」と言うてくれて、それまでは、なんか形にこだわっていたんですね。笹岡さんを前に、おこがましいのですが、お山に行って摘んできたようなお花を入れるのが心地いいんです。摘んできてお籠に入れましたというお花を生けて・・・。自己満足ですけど・・・。

笹岡: でも、そのお花を楽しむ心が大事ですね。それがお客さんにも伝わると思います。
尾崎: 私も自分なりに、お花を生けれるようになった時、「お花が楽しく見える」と、「花を楽しんで生けているというのはお花を見たらわかる」と母が言ってくれました。やはり伝わるんですね。いやいや生けてるのと自分が楽しいのとは違うと・・・。
納涼床、そして「いけばな」
笹岡: みなさん、床にはお花はいけておられますか?
渡邊: 例えば9月には、お決まりですが、すすきを。昨年はまさに、中秋の名月、天気も良く、すごく綺麗で、あれだけ印象深い満月を見るとお客様も「ああ床てええな」と「長月の末てええな」ってゆうてくれはった。
白井:

床にお越しになられたら、自然のうつろいとか、季節のうつろいとか、やっぱり目で見て感じて欲しいですね。もちろん、お料理にも、夏場は夏場の涼、秋は秋の豊かな恵みを感じさせるものが出てきます。それに合わせて自然を眼で身体で感じながら楽しむことが出来るのが、床の最高の魅力です。それだけに、床にもお花での演出をしたいのですが・・・。

床のお花って何を一番注意するかとゆうと、剣山。風でこけますので、見えないように釣り糸でくくるとか、それなりに工夫してやっています。コーナーとか段間のところに挿すような小粋な演出ができたら・・・とも思いますが。

笹岡: お昼時に寄せてもらったこともあるのですが、暑さで、なかなか昼間にお花は難しそうですね。また、夜は夜で風が問題ですね。足元に石をおいて倒れないようにするとか、皆さん苦労されておられますね・・・。
一同: 笹岡先生、何か新しい試みを考えられませんか?竹筒の底に剣山が忍ばせてあるような・・・出来ないですか?
笹岡: 今年は、床のお花のための花留を開発しないといけませんね。
一同: 本当、よろしくおねがいします。
京都という街の夏の風情を楽しみに、納涼床へおこしやす。
渡邊:

床の頃というのは、祇園祭にお盆、そしてお月見。それに合わせて、店の前などに提灯をともしたり・・・。夏の京都を粋に楽しんでもらうしつらえが、どこのお店も上手にしはります。そんなしつらえが媒体になってお客様と心と心が通じ合っていく、京都という街の風情を楽しんでもらえるといいですね。

ちょっと小言みたいですけど、見られる方は本当によく見てくださるんですが、興味のない方はまったく見てくださらないことが多いように見受けられます。せっかく生けたお花やから・・・やっぱり見て欲しいと思います。お料理ばっかり、ではもったいない。そういった自然や店のしつらえに気をとめられたら、もっともっと床を楽しんでもらえるんやないかと思います。

白井: 自分のことで申し訳ないんですけど、大体、朝にお花を生けるんですけど二階に広間があってカーテン開けると鴨川が見えて、東山が見えて、鳥が飛んでいて、『ああなんて幸せなんやろう』と思うんです。この景色を見ることができるということがね。本当に幸せやなと、こんな街中やのに風情があってその景観のよさにほだされるというか・・・。季節は違いますが、まさに『春はあけぼの。ようよう白くなりゆく山際』です(笑)。それを体感してもらえるのが、納涼床だとおもいます。
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