京都の三大行事

平成の浮世絵師 井堂雅夫の京都案内

井堂雅夫

井堂雅夫さんはふるさと切手やNTTテレホンカード、JRオレンジカードなどでもおなじみの画家。柔らかな色調と木版画ならではのぬくもりが魅力です。
画業のかたわら、日本の伝統芸術である浮世絵制作に使われている技術、多色摺木版画の敬称と職人の育成にも取り組んでいます。「ギャラリー雅堂」(北区)では、多色摺版画の制作体験をすることができます。京都をこよなく愛する井堂さんのお気に入りの場所を、一緒に訪ねてみませんか。

※掲載作品は『平成版浮世絵 京都百景』(京都新聞出版センター刊)から抜粋しています

  • 平安神宮

    平安神宮

    彫師 西村智明/摺師 森光美智子
    (23版25度摺り)

    平安遷都千百年祭に際し、桓武天皇を祭神として創建されたのが平安神宮である。境内には美しい庭園があり、春に咲く紅枝垂れ桜は例えようもなく美しい。
    疎水の赤い擬宝珠の橋からスケッチした。朱色の大鳥居を大きく全面に配し、遠くに平安神宮の応天門を描く。この岡崎一帯は、美術館をはじめ多くの文化施設があり、緑豊かな市民の憩いの場所でもある。

    アクセス
    京都市左京区岡崎西天王町
    市バス「京都会館美術館前」よりすぐ、地下鉄東西線「東山」より徒歩10分

  • 青蓮院

    青蓮院

    彫師 北村昇一/摺師 剣持和也
    (13版15度摺り)

    青蓮院門前の巨大なクスノキ。大地にしっかりと張った根は力強い。豊かな枝葉は京の夏の眩しい日差しを和らげ、美しい緑の傘を広げている。醸し出される光と影のコントラストが爽やかな涼感を生む。
    私は、このクスノキの力強さとやさしさを描きたくなった。昔から今に至るまで、どれだけの人を包み、心を和ませてきたか。心の底から感謝の念が沸いてくる。

    アクセス
    京都市東山区粟田口三条坊町69-1
    市バス「神宮道」徒歩3分、地下鉄東西線「東山」徒歩5分

  • 八坂の塔

    八坂の塔

    彫師 西村智明/摺師 原田治
    (17版18度摺り)

    高台寺から二年坂を上って右にゆるい坂を下るこの道は、清水坂を経て東大路通へと通じている。私はこの場所が以前から好きだった。
    冬の朝、柔らかな日差しのぬくもりを感じながらこの道を歩く。目の前に法観寺さんの五重塔が大きく聳え立って見えてくる。
    朝の光を浴びながらスケッチを始める。
    心が暖かさで満たされてくる。

    アクセス
    京都市東山区八坂上町388
    市バス「清水寺」徒歩4分

  • 清水坂

    清水坂

    彫師 西村智明/摺師 剣持和也
    (17版19度摺り)

    二年坂、三年坂を経て清水坂へ。多くの人々で年中賑わう場所だ。
    観光シーズンには門前町は身動きできないほど。私はその情景をそのまま描きたかった。
    世界から、そして全国から観光で訪れる人々の姿は、生き生きと楽しそうである。
    「これが平成の清水坂なんだな」と思いながら、知らず知らずに笑顔になっている自分に気が付いた。

    アクセス
    京都市東山区八坂上町388
    市バス「清水寺」徒歩10分

  • 東本願寺

    東本願寺

    彫師 北村昇一/摺師 佐々木順一
    (25版28度摺り)

    京都では「お東さん」と親しみを込めて呼ぶ。
    歴史ある堂々たる門と長く延びる土塀。前方には、京都タワーと近代的な京都駅が見える。
    この対比がとても興味深くスケッチを始めたが、どうしても烏丸通中央からのアングルがほしくなった。車の往来に注意しながら、道路の中央に出た。百年後の人々に平成の京都を伝えたい、と必死のスケッチであった。

    アクセス
    京都市下京区烏丸通七条上ル
    市バス「烏丸七条」徒歩2分、JR京都駅より徒歩8分

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